Chiropractic Neurology

カイロプラクティック学もその他の医学の内科学や歯科学と同様にいくつかの専門分野に分かれています。カイロプラクティック神経学とは専門分野のひとつです。(他には整形外科、放射線科、理学療法科などがあります。)

カイロプラクティック神経学では一般の神経科医と同じように神経学に重点を置いた教育を受けますが、違いはその知識を実際の治療にどのように活かすかというアプリケーションにあります。

もちろんその治療方法の違いから、患者さんの抱える問題によって一般の神経科医に診療を受けるべき場合、カイロプラクティック神経科医による診療のほうが望ましい結果が期待できる場合があります。

一般の神経科医が基本的に薬物治療、もしくは手術による治療を行うのに対し、カイロプラクティック神経学ではそれらを使わずに治療を行います。治療のための手法は広範囲に渡り一言では説明ができませんが、必要に応じて脳のある特定の部位を刺激するような療法を用います。(例えば、自分から見て右に向かうターゲットを目で追うことによって、右脳の頭頂葉を刺激することができる、等。)

「脳は末梢の奴隷」という言葉があります。一般的には脳が絶対的な司令塔で、脳からの信号によって身体の全てがコントロールされるというように考えられていると思います。しかし発想を逆転すれば脳は周りの環境からの刺激に大きく依存しているものであるとも言えます。脳の細胞が生命活動を維持するために絶対に必要なものが3つあります。栄養、酸素、そして刺激です。脳細胞は何の刺激もなければ死んでしまうのです。

神経学を深く学ぶことによって、ある刺激や行為がどのような回路を通じて脳のどの部分を刺激するのかということを理解することができます。それを応用することでいくつかのシンプルな神経学的な検査の結果を分析することによって脳の状態を探り、それによってどのような治療が必要なのかを判断することもできるのです。さらに治療した後に果たしてその治療が本当に効果があったのかなかったのか、もしくは効果どころかマイナスの影響があったのかを判断することもできます。

別の場所にも書いたように、大切なのはその患者さんが必要な治療は何かを見つけることができ、そして必要に応じた治療を行うことができる引き出しの多さであると僕は考えます。カイロプラクティック神経学を理解し正しく応用することは、それぞれの患者さんの身体の状況をより正確に把握し、どのような治療が必要なのかを探し出すことの手助けになると考えています。